癒しも感じることから
そういった癒し願望を『奇跡のコース』風に解釈すると、どうなるでしょう? そのタイトルから連想させるように、奇跡を起こす究極の方法を教えてくれるのかしら。
『奇跡のコース』の奇跡に対するアプローチは、クールに見えるくらいシンプルなものです。奇跡とは、「すべては心からできていて、心が物質や身体に先立つ」ことを改めて再確認するチャンスにすぎないといわれます。だって、もしそうだとすれば、思い通りに現実がならないはずはないことになりますから。つまり、やり方さえ間違えなければ、奇跡って、起こるのが当たり前。起こらない時には、逆にどこかに障害があることになります。
「じゃあ、私の病気、治して!」「金欠治して!」と言いたくなるかもしれません。
ただ、そんな風に自分の外に物理的に存在する(と思ってる)問題を、直接解決しようとする時、どうしてもそこに、嫌な問題を「退治」しようとする対決姿勢が入ってしまいます。
それは「うまくいかなかったらどうしよう!」といった恐怖感、「このやり方、本当に効果あるの?」と言った不信感、「試してやろう!」といったジャッジメントの姿勢もセットになって連鎖的に引き起こしていきます。
そうした姿勢の一切が、問題と自分、癒しのプロセスと自分を分離して、切り離してしまうのが、それこそ問題なのです。
というのも、そんな風に「切り離す」時、創造力は、発動しなくなるからです。そんな風に邪魔をしなければいつもいつも働くはずの「心」の創造力や、痛んだ身体や状況を再建し、癒すためのせっかくの力が、そこでせき止められてしまうからです。
そもそも、現実の中に、そんな風に、何か不十分な感じ、欠如感、不快感を見出したり、「このままどんどん悪くなったらどうしよう」といった恐怖感を抱いたり、それを「解決」しようという防衛、戦いの姿勢を発動させるこのプロセス自体が、
病んだ心身を再建したり、新たな現実を作っていく「心」の創造力をブロックしては、問題を再生産している張本人なのです。
だから一番最初にやるべきなのは、「病気」や「金欠」といった問題を癒そうとすることではなく、
これらの問題について、また、これから起こるかもしれない癒しのプロセスについて、自分が今、どう「感じ」ているか、この「感じ」を癒すことなのです。
そこに少しでも恐怖感や不信感、批判的でジャッジメンタルな姿勢といった分離・切断がないかチェックして、少しでもそれが見つかれば、取り出して、白日のもとにさらさなければなりません。
そして、「これらを一掃してください、光で洗い流してください」と、「大いなる存在」に頼み、信頼しきって自分の全てを「ゆだね」る。
そうすると、光がさっとさして、みるみるうちにもやもやした不快感や恐怖や批判的な思いの闇が消えていき、後に残るのは、ひたすら光と、平穏、静謐。信頼感、愛・・・といった一切の分離を知らない感情のみになります。
それらの感情に満たされる時、私は「心」を通して現れる生命の創造力を遮断せず、それに争い、抵抗することなく、それに向けて、全開して、ただ、ひらききることができます。
そうすれば、あとは、何にもしなくても、癒しのプロセスが進行し始めます。私の方ですることは、何にもなくなります。
心の中に、少しでも愛以外のものが見つかったら、すぐにその「感じ」を「大いなる存在」に対して、白日のもとにさらして、光で洗い流してもらうこと、
そして再び、愛しかない、ふわっとした状態に心を戻してもらうことを、
『奇跡のコース』では、「ゆるし」と呼びます。
癒しはその一つの応用ですね。
「ゆるし」が日々の習慣になり、呼吸のように自然に、気づいたらすでに行っているというのが、ゴールですが、それがもたらしてくれる安らぎとじわじわ静かに心を満たすよろこびは、とても言葉で語れません。
話を戻しましょう。だから、癒すべきなのは、「問題そのもの」ではないのです。そのことは、いくら強調してもしすぎることはないくらい。「問題そのもの」ではなくて、「問題を自分が今、どう感じているか」を癒してください。
それならば、自分が一番の癒し手。どこに行く必要も、誰に頼る必要もありません。誰にだって、今、ここで、すぐにできます。「究極の癒し」を探して、大枚叩いて世界中探し回る必要もありません。重要なのは、「癒しについて、自分がどう感じているか」、それを癒すことなのですから。
いつでも、どこでも、呼べば必ず来てくれる、というより片時も自分から離れることはない「大いなる存在」に、「ゆだね、まかせきれる」信頼感。心配しなくても、大丈夫」という安心感、「生かされてる!」という感謝の念やよろこび、愛そのものが湧いてきたら、それだけでもう癒しのスイッチが入る。これが身につけば、本当に、生きるのが楽になります。
by makikohorita
| 2016-08-31 15:40
| 奇跡のコース